株式会社山崎工務店
ISO9001・ISO2000認証取得
 
 
 
昭和56年(1981)6月に建築基準法の改正があり、建築の構造設計法が大きく変わりました。俗に「新耐震設計法」といわれるものです。
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災のときに、新耐震設計法で設計された建物と、それ以前の構造設計法で設計、建築された建物とでは、被害に大きな差がありました。これらの経験に基づいて、平成7年12月25日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が施行されました。この法律の主旨は、昭和56年6月以前の構造設計法によって設計された建物の耐震性能を診断して、不足があるときは所要の耐力まで補強設計をして、補強工事をしようというものです。
このような背景の中で、学校等の公共建築物の補強工事が行われており、民間の建築物においても、耐震診断をして必要があれば耐震補強しようという機運が高まってきました。

一級建築士事務所 都祭建築構造設計事務所
東京都墨田区吾妻橋2-20-7-701
TEL:03-3621-4661
株式会社山崎工務店 一級建築士事務所
担当 牧井一男、池田輝人
TEL 048-683-0776(設計部専用)
このところ関東近圏で頻発する地震に対し、預かっている園児を安全、安心な状態で保育しようということから耐震工事の依頼がありました。
(当社はさいたま市を中心に学校の耐震補強工事の経験が豊富です。)
さいたま市立片柳小学校耐震補強工事
構造、意匠の設計が整って初めて工事にかかります。今回は幼稚園が夏休み中に完成する工事であり、事前調査から見積りまで、夏休みに入る前に進めておく必要がありました。
《当社では金額の承認を受けてはじめて、着工の準備に入ります。》
与野本町幼稚園は、鉄骨造2階建ての建物です。昭和55年当時の建築図面と構造計算書に基づき、現場調査をして柱梁、基礎の状況を把握します。この調査も含めて構造設計専門の構造設計事務所に依頼し、耐震診断をして耐震補強の方針を立てます。(構造設計)

立てられた構造計画に基づき、内装をどの程度まで解体しなければならないか計画を立てます。(意匠設計)
建築工事がうまくいくためには、この構造設計と、意匠設計のコンビネーションがうまくいっていることが大切です。


夏休みに園児のいなくなった園舎で内装の解体工事が始まります。
耐震鉄骨ブレスは既存の柱梁にプレートで溶接しますので、該当する部分の柱梁がむき出しになるよう天井、壁、床の内装を解体します。

工場で加工した耐震鉄骨ブレスは手作業で柱、梁の間に吊り込み、溶接します。
基礎への固定は、あらかじめ既存の基礎に打ち込んだアンカーボルトと鉄骨ブレスのアンカーボルトとを鉄筋スパイラルに絡ませ、無収縮モルタルで固定します。埋め込んだアンカーボルトは5tの圧力を掛けて引き抜き検査しています。

耐震ブレスが固定されるとあとは内装を元どおりに復旧して工事は完了です。
アルミサッシュの窓をつけて、壁・床を復旧すると何事もなかったかのように補強された元の園舎がよみがえりました。


全部で8箇所に鉄骨ブレスが組み込まれました。ほとんどの鉄骨ブレスは壁の中ですが、窓に見えるバッテンもそれほど気になりません。地震に対する安心感でしょうか。
完成した園舎では夏休みに日焼けした子どもたちが元気よく遊んでいました。